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基礎テクニックvol.2〜複合コーナーのライン取り〜

「ライン取りの基礎」に続いて、「複合コーナーのライン取り」 について考えていきたいと思います。

 

前回学んだライン取りは、あくまでもコーナーを単独で考えた場合の理想的なライン取りでした。しかし、下のコース図をみてよく考えてみると、コーナーには2つの種類があることに気がつくはずです。

AZ山梨サーキットのコースレイアウト

出典:http://az-yamanashi.net/circuit.html

2つの種類、分かりましたか?

 

そう1つめは、「ライン取りの基礎」で触れたような単独のコーナー。そして、もう1つはコーナーが連続する複合コーナーです。

 

今回は、この複合コーナーのライン取りの考え方について勉強していきたいと思います。そもそもライン取りというのは、コーナーを速く走り、そしてそのコーナーに続くストレートを速く走るための考え方であるという事は、もうみなさん理解ができていると思います。(前回のライン取りの基礎について)

 

しかしゴーカートのサーキットには、コーナーの直後にまたコーナーが続くような箇所があり、その基本的なセオリーが通用しない場合があります。

 

今回はそのようなケースを幾つか例に挙げながら、そのライン取りについて考えていきたいと思います。

 

ケース①同一方向に続くコーナーのライン取り

まずは下の2つの図を見てみましょう。

同一方向に続く2つのコーナーのライン取り

同一方向に続く2つのコーナーのライン取り

上の図のコーナーは、コーナーのRが一定ではなく、Rのキツいコーナーから徐々にRが緩くなっていっている事がわかると思います。

 

下図のコーナーは、途中に短いストレートがあるものの、すぐに次のコーナーが続くような形です。

 

特徴としては、どちらのコーナーも同じ方向へのコーナーが続いている点です。

 

ポイント1:一筆書きでラインを描く

これは言い換えると、「2つのコーナーを1つのコーナーと考える」という意味です。

 

コーナーを図で見ると複合コーナーですが、ラインを見ると1つのコーナーであることが分かるように、コーナーを一回のアクションで抜けることが重要です。これを「一筆書き」と表現しました。

 

ポイント2:クリップを取る位置を工夫する

上下2つのコーナーで、クリップの数が違うことに気がついた方も多いはずです。

 

上の図のコーナーは、コーナー自体は回り込んでいるので、一見クリップを奥に取ったほうが良いように感じてしまいますが、コーナーのRが徐々に緩く変化していっているので、その分クリップを手前に設定できています。

同一方向に続く2つのコーナーのライン取り

同一方向に続く2つのコーナーのライン取り

そして下の図のコーナーは、間に短いストレートを挟んでいますが、ポイント1を加味してコーナーそのものは“一筆書き”でクリアしていますが、なるべくイン側を通って近道をするための目安にするために、クリップを2回設定していることが分かります。

 

このコーナーのライン取りのポイントは、2個目のクリップをなるべく直線的に、なおかつアクセルを踏みながら通過していること。

 

特にこれは、このコーナーの後に続くストレートが長ければ長いほど重要になってくる部分です。

 

ケース②S字コーナーのライン取り

次に見るのは、2つの左右方向が逆のコーナーが連続する場合のライン取りです。下の図を御覧ください。

S-LINE

このS字コーナーは、左→右とカーブが連続しています。この時に、一番気をつけなくてはいけない事は何なのか考えてみましょう。

 

ライン取りの基礎を思い出すと想像がつくと思いますが、このようなコーナーの場合は、このコーナーの直後の直線(アクセル全開区間)が長ければ長いほど、ふたつ目の右カーブの立ち上がりスピードが重要なポイントとなります。 

 

何も考えずにこのS字コーナーに侵入してしまった時の事を客観的に想像すると、最初の左カーブの立ち上がりで、もっとアウトに行きたくなってしまうことが想像できるかと思いますが、重要なのはこの時ばかりはライン取りの基本である「アウト・イン・アウト」の考え方を捨てなくてはいけない、ということです。

S字コーナーのライン取り

ゴーカートのサーキット走行の基本である、「ストレートを速く走る」ために、ふたつ目の右カーブを効率よく立ち上がる。そのために、「右カーブの進入=左カーブの立ち上がり」については、なるべく「右コーナーのアウト=左コーナーのイン」側からアプローチしなくてはいけません。

 

ですので、ついついがんばりたくなってしまう最初の左コーナーの立ち上がりはあえてラインを余らせて我慢。その分次の右コーナーを走りやすくする、というのが、このような場合のライン取りの考え方です。

 

サーキットによっては。S字がさらに続くような場合もありますが、基本的な考え方は同じです。

 

最終的なコーナーの立ち上がりに照準を当て、そこから逆算していってライン取りを決める、という考え方が重要になります。

 

ライン取りに正解はない

いかがだったでしょうか?

 

是非ここまでに触れたライン取りの考え方を元にして、普段走っているサーキットや、次に走るサーキットのコース図を見直してみてください。

 

サーキットを俯瞰した視点から冷静に観察し、本当に効率的なライン取りはどのようなものなのかを繰り返し考える事が、タイムアップの第一歩になります。ライン取りにに明確な「正解」というものは存在しません。

 

ですので、実際に「走り」→「考え」→「観察する」 を繰り返していく中で、より良いライン取りが見つけられるものだと思うので、是非、実際にゴーカートに乗って実践してみましょう。

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Rei Yamaguchi

カート初走行の翌年には全日本選手権に出場し、ファステストラップを記録した実績を持つドライバー。 デビューが遅かった分、感覚よりも考えて走るスタイルの持ち主で、イギリス仕込みのドライビング理論を武器に、インストラクターとしても多方面で活躍中。

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